ニューズレター第8号

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ニューズレター第8号(March 23, 1998)

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サン・セバスティアンへの招待      寺本まり子

Invitation to San Sebastian              

 

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 1998年6月21日から26日まで第18回IAML国際会議がスペインのサン・セバスティアンで開催されます。要綱をもとにして、会議のことを少しご紹介しましょう。
 サン・セバスティアンはスペイン北端ギブスコア県の県都で、美しい湾岸で知られ、スペイン王室の夏の旧王宮も置かれていました。この王宮Palacio Miramarで今回の会議が行われます。ギブスコア県が含まれるスペイン北端部はバスク地方と呼ばれ、古くからバスク語が使われ、独特の風俗や慣習が見られます。サン・セバスティアンもバスク語ではDonostiaと呼ばれます。
 このような地理的関係から、サン・セバスティアンには数通りのアクセスの方法があります。まず、日本からスペインのMadridあるいはBarcelonaの国際空港に向かい、San Sebastianへ飛行機を乗り継ぐか、汽車かバスを利用する。San Sebastianの近くにはさらにBilbaoやVitoria(それぞれSan Sebastianから100kmないし120km)の飛行場もあります。次にフランスとの国境に近いということを考えると、フランス側にはBiarritzに国際空港があり、またパリから国境の街HendayeまでTGV(新幹線)を使えばその後San Sebastianまでは国鉄(Topo)で45分です。ただし、今年はWorld Cupがありますから、フランス経由は難しいでしょう。
 6月21日のOpening Sessionに続いて、22日から各分科会(Research Library Branch, Libraries in Music Teaching Institutions Branch, RILM, RISM, RIdIM等)で様々な発表が行われますが、今回はスペインの資料に関する興味深い発表が聞けるでしょう。
 また6月24日(水曜)の午後にはBilbaoのGuggenheim-MuseumやM. Ravelの生まれたCiboure、さらに聖地Aranzazu への見学が予定されています。また、その前日は洗礼者ヨハネの祝日の前日にあたるので、世界周航者Elcano (1476?-1526) の生まれたGetariaに向かい、この日だけ踊られるバスク地方の伝統舞踊"Aurresku"を見学することも予定されています。さらに希望者には会議後の小旅行も用意されています。
 このように内容豊かな会議へのお申し込みですが、4月15日までに書式に記入して支払いと共にスペインの会議本部へ申し込めば申し込み金は6,000ペセタ(3月13日のレートでは100円=85.16ペセタ)で済みます。なお、今回初めて会議に参加される方で、どのようにしてよいか不案内な方がありましたら、日本支部事務局までご連絡・ご相談下さい。
 

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支部ホームページ発足       佐藤みどり

http://www.music.co.jp/~mlaj/iaml/service.htm

 

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 去る2月5日、IAML日本支部のホームページが発足しました。
 昨年5月31日の総会でホームページ作成の決定がなされてから、8カ月後のことです。総会では、ホームページ担当の委員として岸本宏子事務局長と筆者が指名されたのですが、実際にホームページ作成の労を取られたのはもっぱら岸本先生でした。そういうわけで、筆者はただここにその経過のご報告のみを行うものであります。
 さて、総会で決定はなされたものの、ホームページ作成は岸本先生にとっても未踏の領域でしたので、集中的に取り掛かる必要から7月の夏休み開始を待って着手されました。数日後には現ホームページのおおよその枠組みができあがり、フロッピー・ディスクの形で、閲覧手段を持っている役員に送付されました。その後、実際にネットにアップロードされるまでは、改訂のたびにフロッピーが行き交うことになりました。
 ホームページの骨格ができたところで、藤堂雍子さん、秋岡陽さんからも中に盛り込むデータが提供されました。そもそもホームページ計画は20周年記念事業の一環として企画されたものでしたので、ホームページ作成係だけではなく20周年記念事業のための小委員会のメンバーが協力体制を敷くことになったわけです。8月の中頃には、実際に顔を突き合わせての内容検討会も行われました。9月のジュネーヴ会議の際には、それまで閲覧の機会のなかった支部長の渡部先生と、上法副支部長に見ていただくことができました。
 9月20日の役員会では、ホームページのプロヴァイダーの選択などが話し合われました。このとき、現に今そうであるように、音楽図書館協議会のホームページの子ページとするという案が提出されました。
 役員会後の10月初頭、岸本先生は個人で契約しておられるプロヴァイダーで試験版ホームページを開設され、担当者間のチェックがディスクのやり取りを介さずに行えるようになりました。ところが実際には、この間岸本先生の開発環境は最新のものに変わっており、旧態依然たる筆者のネット環境(Windows 3.1上でのNetscape ver. 2.02)などでは意味不明の文字記号の羅列、という状態になりました。これは年があらたまる頃にほぼ原因がわかり、一応の解決をみています。その間にも岸本先生は種々のマシンを駆使して検討を続けられ、12月に入って試験版のまま会員全員によるチェックを行うという段階に至りました。
 そして冒頭に述べたとおり、2月5日には試験版から公開版ホームページへと切り替わりました。松下鈞さんと音楽図書館協議会のご好意により、そのホームページの中に移して発足することができたのです。 公開により、新入会員が得られるなど早速嬉しい反響がありましたし、ホームページ画面を印刷したものも広報活動に役立てることができるようになりました。現在 Yahoo!(サーチ・エンジン)に登録を申請中で、このニューズレターが出る頃には完了しているものと思われます。
 最後に事務局長から会員の皆様にお願いです。

 

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支部創立20周年に向けて     秋岡 陽

 

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 ■日本支部も、もうすぐ20歳!  IAML日本支部は、来年、1999年に、創立20周年を迎えます。IAML日本支部が正式に発足したのは、1979年7月9日。それ以前から着々となされていた準備がついに実り、この日、遠山一行氏を支部長、村井範子氏を事務局長としてIAML日本支部が誕生したのです。そして来年、いよいよ「創立20周年の記念の年」を迎えることになりました。IAML日本支部もいよいよめでたく成人式!ということになります。20年という歳月は、短いようで、しかし長い道のりでした。実にいろいろなことがありました。
■個人の自主性を尊重してきた20年  IAMLという団体の特徴は、あくまでも「個人の自主性」を重んじることです。日本支部『ニューズレター』の創刊第1号の巻頭言に、当時の支部長、遠山一行氏が、つぎのようにお書きになっています。「IAMLは、あくまでも個人の自主性を重んじた組織だが、団体としての加入も認められており、そこにさまざまな問題があらわれてくることも予想される」。予想のとおり、いろいろな問題があらわれてきました。個人の自主性よりも、所属する組織の意向が優先されることの多い日本の社会。そのなかにあって、IAML日本支部の活動は、さまざまな問題に直面せざるをえなかったのです。
■20周年記念プロジェクト  それにもかかわらず、IAML日本支部は、あくまでも「個人の自主性」を尊重しようとして歩んできました。その20年の道のりを、1999年の記念の年に向けて、今一度ふり返り、心に刻みたいと思います。そのために、昨年(1997年)の支部総会で、つぎのプロジェクトが決まりました。 (1) 支部の歴史に関する資料をまとめる。 (2) インターネット上にホームページを開設し、支部の歴史に関する資料も含め、IAML日本支部の情報を発信してゆく。 (3) 役員会にプロジェクト小委員会を設け、史料整備(担当:上法、藤堂、秋岡)と、ホームページ開設(担当:岸本、佐藤)を行う。 このプロジェクトは着々と実行に移されています。ホームページも担当者の献身的な努力により、公開のはこびとなりました。公開されたホームページをぜひご覧いただきたいのですが、そこには、IAML日本支部の重要な歴史資料ともいうべき『IAML日本支部ニューズレター』が、第1号からすべて収載されています。また、『IAML東京会議1988特別号』の遡及収載作業も行われています。
■今後の作業:創立20周年に向けて  IAML日本支部ホームページをご覧いただくと、「国際会議への日本人会員の参加状況記録」や、「日本支部会員によるIAML関係の著作・発表一覧」など、IAML日本支部の歴史を語るページが「work in progress」の形で公開されているのもご覧いただけます。ホームページの利点は、刻々と改訂を加えつつ公表できること。その利点をフルにいかしてゆきたいと思います。ご覧になってお気づきの点や、加筆・訂正すべき点等ありましたら、ぜひご一報ください。会員のみなさまとごいっしょに、支部の歴史を記してゆきたいと思います。また、インターネットに未接続の会員のために、今後ニューズレターでも、創立20周年関係の記事をとりあげてゆきたいと思います。「思い出の記」などの原稿も、積極的にご寄稿ください。
■日本支部『ニューズレター』創刊第1号の巻頭の、遠山先生のお原稿のなかには、つぎのような一文も読むことができます。「本会が、本来の自由な雰囲気と人間的なむすびつきを守り育てながら、会員ひとりひとりの学問的向上を通じて、我が国の音楽文化に寄与するところがあれば幸いである」。この願いの達成のためにも、今一度20年の歩みをふり返えり、これからの新しい歩みについてごいっしょに考えてゆきたいと思います。
 
 

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ブルック氏を偲んで       岸本宏子

 

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 最近MLAでもIAMLでも、あまりブルックさん(Barry S. Brook, 1918-1997.12.7)の姿を見かけないなと思っていました。音楽図書館の世界でも世代交代が進んでいるので、だいぶ前に大病をなさったこともあり、第一線からは身を引かれたのだなあと、あまり気にもとめないで。
 このたび訃報に接し、彼とともにひとつの時代が去って行きつつあることを身にしみて感じています。音楽資料を扱う仕事が一人前の認知をされ、そのための技術が確立し、大プロジェクトが国際的なレベルで開始・進行した時代が。そしてブルック氏は、その中で決定的な大きな役割を演じた人でした。新しい時代を先取りする能力に優れ、そして大きなスケールでものごとを把握し、企画を立て、実行していく能力をお持ちでした。図書館とか資料とかの世界に興味を持つ人間は、往々にしてそのようなことは得手でないように思います。ブルック氏のような方は貴重な存在だったと思います。いくつものいわゆるRプロジェクトは(RISM, RILM等)、彼の実行力がなければここまで成長しなかったのではないでしょうか。
 音楽学や図書館学を学ぶために留学していた頃に何度か、CUNY(ニューヨーク市立大学)のモダンな氏のオフィスを訊ねたことがあります。ゼーバス氏を囲んでのRIdIMのプロジェクト会議、RILMの方針討議、その両方にまたがるマードック分類の検討会などに声をかけていただきました。氏の実行力と指導力に敬服すると同時に、文化的なプロジェクトへの資金調達が、日本のように絶望的でないことを羨ましく思ったものです。
 ブルック氏はにとくに日本と関係が深かった方です。1970年代の中頃から何度か、RISM、RILM、IAMLのために来日されました。1988年の東京会議の際の、さっそうとした姿を覚えておられる会員諸氏も多いでしょう。
 皆様とともに合掌。
 

 

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会計報告               Y. T.

TREASURER'S REPORT       

 

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■会費納入完了
 皆さまからの1998年度会費の納入がほぼ終わり、本部への送金と郵便番号変更の通知を、並行して済ませました。ご協力ありがとうございました。
■収支決算と予算案あれこれ
 1997年度収支決算、および新年度の予算案を2月の役員会に提出し、大筋でのご了解を得ることができました。総会前に監査を受け、総会で皆さまにご報告いたします。
 ホームページに精力的に取りくみ、公開に踏み切ったことは、すでに御承知の通りです。このホームページが、岸本宏子事務局長の献身的な御努力と音楽図書館協議会(MLAJ)のご好意で、無料で作成・公開できたことや、例会が今年度に持ち越されたこともあって、決算での1997年支出は、低めに推移しました。
■ユネスコ国際交流活動事業援助金申請
 国際会議への代表者派遣などを目的とした表記援助金の申請をしました。もし受諾されれば、支部事務局長の派遣に充当致します。
■会員増にご協力を!
 先日の役員会で、次世代の若い音楽図書館員に資金援助をしてでも、本部の国際会議に参加してほしい、という意見が出されました。しかし、会費の一定歩合の中で経常経費を賄っている現在の支部の状況では、その余裕はありません。基金を募ることも考えられますが、事態を少しでも好転させるためには、まず、会員増が望まれるところです。音楽資料情報や音楽図書館に関心を持っているお仲間に本部および支部ホームページを覗くことをお勧め下さい。
■1999年の支部創設20周年をひかえ、総会等で、活動へのご意見をぜひお聴かせ下さい。今後の財政計画指針としていきたいと思います。

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事務局便り

 

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■新事務局メンバー
 役員改選から10カ月近く、今期の事務局は事務局長岸本宏子および、佐藤みどり、松下鈞両名が担当しています。秋岡陽前事務局長に教えていただきながらやってきましたが、事務局が所在する日本近代音楽館ではなく、それぞれの本拠で仕事をしているため、連絡の不備など、会員の皆様にご迷惑をかけている点が多々あると思います。
■名誉会員について
 これまでの「個人会員」「団体会員」のほかに、さらに「名誉会員」のカテゴリーが加わりました。規約の改定版はHPに掲載されています。また、プリント版をご希望の方はお送りします。
■支部例会を開きます
 すでにお知らせしたとおり、3月28日(土)に支部例会を開きます。日本に流入している西洋音楽の貴重資料の動向は、IAMLにとってひじょうに興味深いテーマだと思います。IAML日本支部として責任を感じつつも、大半は個人財産に属するだけに、どのように関わるのがよいのか……微妙な問題です。今回は、最近の流通事情にお詳しい、雄松堂社長の新田満夫氏を囲んでの懇談会という形で、現状把握、問題点などを勉強したいと思います。 その後で、国立音楽大学と紀伊国屋書店が共同開発した、音楽資料の特殊性に配慮した初のクライアント・サーバー方式図書館システム「LS/1」の本稼動の状況を見学します。
■今年の総会
 1998年度の総会は5月23日(土)午後に行われます。詳細は追ってお知らせします。
■ e-mailのIDをお知らせ下さい
 本部−支部の連絡は10年以上前からすでにe-mailが中心でしたし(日本は孤島の観がありました)、昨年のジュネーヴ会議から総会議事録もe-mailのみでの配布になりました。各経費節減の目的もあって、当支部も役員会などの連絡はおおかたe-mailに移行しました。会員の皆様との連絡等も、将来的なことを考えますと、インターネット利用を増やしていきたいと思っています。書面での連絡に加えて、HPとe-mailを利用した会員連絡ネットも育てていきたいと思いますので、IDをお持ちの方はお知らせ下さい。
■事務局への連絡について  IAML日本支部は、日本近代音楽館のご好意により同館に事務局を置いていますが、事務局メンバーは常駐しておりません。郵便物のチェックなど、遅れがちになってしまいますので、お急ぎの連絡は事務局長宅へ直接お願いします。
 

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会員異動

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  1. 退会  今谷圭子、鈴木大地、橋田彩子、山口康子
  2. 入会  佐々木勉、洗足学園大学付属図書館
  3. 住所変更  民音音楽資料館  〒160-8588 東京都新宿区信濃町8番地 電話03-5362-3555

 

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PUBLICATIONS RECEIVED

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(以上)